『CONFLICT~最大の抗争~』オールイン エンタテインメント

2018年4月25日水曜日

オールイン エンタテインメント 映画 日本映画

t f B! P L
世の中の創作物にあーだこーだ言う。
『独断と偏見とちょっとしたスパイス』
第3回は、ヤクザ。反グレ。警察。抗争の果てに笑う者は誰か。
ヤクザ版エクスペンダブルズ。
CONFLICT最大の抗争~  
オールイン エンタテインメント


『龍が如く0』で悪役としてその存在感を存分に示した男・久瀬大作。何度となく主人公・桐生一馬の前に立ちはだかり、その凄まじい執着心とヤクザとしての心意気を見せつけた。まさに名悪役の1人だ。このヤクザ者を演じたのが『CONFLICT最大の抗争~』では主演を果たした小沢仁志さんだ。さて、今回。ふと小沢仁志さんの演技が見たくなった。あのヤクザ顔負けのおっかない顔つき。怒鳴られた夜も寝れそうにはない、あの声色。まさに個性の塊だ。そんな小沢さんのおっかなくとも渋い。アニメでは聞く事のない、あの演技を見る為に、この映画を選んだ。事前の情報は無し。ちなみに、これが初のVシネだ。


結論から言うと、シナリオははっきり言って出来は良くない。
話がありきたりなのは全然構わない。ただ登場人物が多すぎてとっつきにくく、所々わかりにくいのは問題だ。ここまで多いといちいち登場人物の名前なんて覚えている余裕はない。しかも、全ての登場人物にテロップが出るものだから「あ、これは重要人物だから覚えておこう。」と思っていたら、すぐに死んだり、フェードアウトする。これがまた見ていて混乱を招いている様に思った。突然、物語に大筋を語った説明セリフが入るから一時も気を抜けない。


各陣営のそれぞれの人物達に焦点を当て過ぎて群像劇の様なってしまい、肝心な主役の小沢仁志さん演じる鷲尾組長の場面が思ったより少ない。しかも、登場人物がごちゃごちゃと多すぎて過ぎて、鷲尾組長を初めそれぞれのキャラがあまり立っているとは思えなかった。


車やテレビ等の壊したら不味い物が壊れる場面や一部の血しぶきでは安っぽいCGが使われているのが、作品にチープさを与えている。しかも刀を鍔迫り合いの度に同じ効果音、スローモーションの多様してアクションシーンの誤魔化しているとしか思えない場面には、予算という映画の敵を見た。映画史上最大最悪の敵だ。この安っぽさが悲しい。


そして一番最悪なのが、レンタルDVDでは上下2枚組になっている事だ。
これについては擁護しない。酷い。1枚辺り80分。合わせて2時間半の映画なのに、わざわざ第1章勃発編と第2章終結編に別れて別々に販売している。全部見る為には2枚借りないといけない。ただでさえ映画のテンポはそんなに良くないのに、DVDを入れ替えしないといけないのが面倒で仕方がないし、売り方が汚い。せこい。


だが、この映画。散々文句言っておきながら、実は自分はそんなに嫌いじゃない。
健全さが創作の中まで及ぶ現代において、ここまで実写で好き勝手できる場が残っていた事が嬉しかった。ドバドバ流れる血や腕の切断、小指切りや鷲尾組長行きつけの居酒屋の看板娘がクスリ漬けにされボロボロになって登場するシーンなんて、今じゃ実写ではできないと思ってた。まさかここまでするのか。というのが最初の衝撃。特に看板娘に対する鬼畜の所業は結構生々しい。こういうコアな描写ができるのがVシネなんだと再確認。「健全な世の中など知らん。俺たちは俺たちの映画を創るぜ。」という心意気を感じたね。


ヤクザと反グレの幹部がみんな刀持って殺陣やっている所がすっごいシュール。ヤクザ映画でも龍が如くみたいなノリとはびっくり。居合で車のタイヤを斬り、車を大破させる序盤のシーンでこの映画の見方がわかったね。これが第2の衝撃。哀川翔演じる明神なんて、手に鉤爪つけて長ドス持った鷲尾組長に歯向かうなんて、バトル漫画のノリなのが凄い好き。シュールで全然現代の話は思えないけど、本当好き。


結構、テレビで知られた人たちも多く出演していて敷居は低いのも魅力。
同じく龍が如く0にて重要な役割を果たした渋沢こと中野英雄さん。
バラエティのコミカルさが一切消えたラスボス明神こと哀川翔さん。
芸人勢からは元木大輔さんや品川祐さん。遠藤章造さんなんかも出演。
「あ、この人が出るなら見ようかな。」というのも全然ありだと思う。


マニアックながらコアな役者の演技。
これが見れたのが嬉しい。善役(ヤクザの組長だけれども)の小沢さんの優しくも恐ろしい演技。やっぱりいいね。龍が如くでは狂犬じみた男だっただけに、こんな優しい演技が見れて良かった。1回気になる役者さんが出てくると、喜怒哀楽併せ持った色んな演技が見たくなる。小沢さんがこれ1本だけではまだ知れたとは言わないけれど、違った一面が見れたのが良かったね。それ意外にも、「あ、この役者さん。また見たいかも。」と思わせるものがあったね。それぐらい芸達者。上手い役者さん達が多かった。まさに旬が過ぎてしまったら簡単に消えてしまうアクションスター達に見せ場を与える為に創った映画『エクスペンダブルズ』の様だ。


はっきり言って出来は悪い映画。決して映画館で見たいとも思わない。
ただ、だからと言って。決して紹介できない程酷くない。むしろ、映画の荒い部分を役者さんの演技でリカバーしていると言っても過言ではない。そんな映画。お勧めはしない。ただ多くの役者さんを知る為のPV映像としては、
正直ありだと思う。

さあ、映画を見よう。

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毎週金曜19時更新。 目に留まった創作物にレビューを書きます。批評家では無いので、凝った事は書きません。文章は硬いめだけど、方針はゆるゆるです。よろしくです。

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