独断と偏見とちょっとしたスパイス 43
俺のクラスに若返った元嫁がいる
─似たもの同士の離婚夫婦。タイムリープで青春のやり直し。─「ラノベ読者の高齢化が進んでいる。」という話は聞いていた。
個人的に少し気がかりな話題だと思っている。
ラノベは一般文芸を読む前に通る読書の入門ジャンルみたいな意識がある。
実際自分は高校生の時に「メディアワークス文庫」を読んでいて、
そこから一般文芸の小説を読むようになった。
小説って基本的にギャンブル性の高い娯楽
(面白さに当たりはずれがあるという意味)だし、漫画よりもタイパも悪い。
スマホですべての娯楽がお手軽に楽しめる時代。
小説という媒体は時代遅れかもしれない。
原則若い新規の来ないジャンルは衰退しか無いから、10年後が怖い。
「ラノベのターゲット層にティーンエイジャーが外れている。」って、
このタイトルを読んだときに感じた。
少なくとも高校生が読みたくなるタイトルでは無いと思う。
高校生の自分ならば読まなかったし、ここにも高齢化を感じた。
『俺のクラスに若返った元嫁がいる』はタイムリープ系痴話喧嘩ラブコメ。
元は小説投稿サイト「カクヨム」に連載されていた作品が、今回書籍化された。
様々なすれ違いが原因で離婚した夫婦・黒瀬航平、鯉川柚花の2人は交通事故に遭い、
次に目が覚めると高校入学式の朝にタイムリープしていた。
2人は高校生の頃はクラスメイト。
(ただし会話した事無かったし、付き合いだしたのは大学生になってから。)
外野視点で見ても、とても気まずい。
案の定初っ端から事ある事に口喧嘩に明け暮れる2人。
でも似た者同士の2人だから、こじれていた2人の関係も少しずつ元に戻ろうとする。
そんな2人を陰から見守っていく。そんなお話。
ちなみに彼らの実年齢は27歳。
私と同じ年。だからちょいちょい話題になるゲームとかアニメの元ネタが被っている。
「無双シリーズ」に「ラブプラス」に、おそらく「マクロスフォンティア」?
ちょうど高校生の頃ぐらいにブームになっていたネタが来る。
不意にも「ああ、懐かしい。」って思ってしまった。
これ絶対同世代から、離れていても2、3歳年上のどっちかだ。
これにはちょっとシンパシーみたいなのが、ぐわってきた。
そして何だかんだ言ったって、時代って進んでいるだなって実感。
今でも10年代前半は割と最近のイメージだったけど、時代はやっぱり進んでいた。
2人とも本当に永遠喧嘩しているだけど、
2人ともオタクで友達のいないぼっちだから、結局2人で遊びまっくて、
どんどんすれ違いで生まれていた距離が縮まっていく。
元々航平がブラック企業で務めた結果、
2人の時間が少なくなったのが離婚のきっかけ。
ギャンブルとか不倫とか借金とかが原因じゃないから、
学生に戻って2人の時間を取り戻したら、元に戻ったというべきか。
ヒロインはまだカワイイって思えたけど、主人公の航平は苦手なタイプ。
言い方が上から目線だし、他人とはそんなにコミュニケーションできないのに、
身内や家族に対してはやたら大きく出る人っているじゃない?
そんな感じの印象に思えた。少なくとも友達になりたくないタイプ。
ヒロインの友達だったら「彼、辞めときな。」って言ってると思う。
ただ、2人とも何だかんだ幸せそうだし、まあ良いかなって感じ。
終始いちゃいちゃのろけを見せられている気もしない事も無い。
タイムリープ物を生かして、推しの先生の運命を変えたり、
高校時代の好きなアニメの映画を見に行ったり、
わりとタイムリープを生かしたラブコメをやっていたのは好き。
カメラの下りとか、柚花の父親と航平との微妙な仲とか、
次の展開に繋がりそうな伏線らしきものもあるのも良い。
読むなら、同世代の人がいいと思う。
世代あるあるネタって基本内輪ネタだし、
今ほどネット環境が整ってなかった微妙な時代の空気感は、
あの時代は体験していないとわからないと思う。
まだガラケーだしね。
さて今回は、
『俺のクラスに若返った元嫁がいる』を取り上げさせていただいた。
タイトルにあらすじに読者層の高齢化を感じずにはいられなかったけど、
同世代の主人公らカップルがタイムリープで青春をやり直す展開って、
控えめに言って熱い。
ちょいちょい来るネタが自分が高校生だった頃ブームだったネタばかりで、
とても懐かしい反面、ちょっと時を流れを感じた。悲しい。
私は正直今の方が人生前向きに生きているし、楽しいからね。
あの頃の学生時代には戻りたくない。
でも一方で学生時代の自由な時間がいっぱいあった頃に戻って、
もう一回好きな事だけをする。そんな贅沢って一度は想像してしまうよね。
彼らのやり直し系ラブコメは一体どうなるのか。
2巻は発売されたからシリーズ化したみたいです。
良かったら、読んでみるのもいいかもですよ。
公式サイト
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