ブルートレインたらぎ  ─ブルートレインはやぶさの余生─

2024年4月19日金曜日

旅行

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独断と偏見とちょっとしたスパイス 66



ブルートレインたらぎ
─ブルートレインはやぶさの余生─









ルートレインに一度は乗って見たかった。
「電車で東京に行く。」という体験をしてみたかったから。
結局熊本を走っていたブルートレインは2009年。
自分が中学生だった頃に廃止となった。今が29歳だからちょうど15年前の話。
そんなに前の気もしないけど、それなりに年数は立っている。

今東京に行くとしたら熊本─東京まで飛行機でたったの2時間ほど。
近いって言えば近くだし、行こうと思えばわりと行ける距離。
最近知り合った人は仕事で月の半分を横浜で、もう半分を熊本と行ったり来たりしている。

移動時間が短いから出来る事だし、
時間が有限な私達にとっても移動時間の短縮は色々とありがたい。
今風で言えばタイパが良い訳だしね。

もしブルートレインが令和の時代に残っていたとしても、
「乗る事」が目的であって、多分移動手段としては選択肢に上げづらいと思う。
限られた休みを移動で使う訳にはいかないからね。




そんな昭和に生まれ平成に去ったブルートレインに実際に宿泊できる施設が熊本にある。
それが今回取り上げる『ブルートレインたらぎ』。


偶然シフトが変更になり2連休になったから旅行に行きたい。
でもお金が無いから凝った所には行けない。
それで色々考えた結果、ここに行く事にした。

それにブルートレインで東京に行く事はできないけど、宿泊する事で追体験は出来る。
これも一種の体験型施設なのかも。

一泊3140円で「多良木町ふれあい交流センターえびすの湯」の入浴券1枚付き。
(ちなみにアメニティは無し。)





正直ネカフェよりも安いというか、お得感が凄い。
ちなみに温泉は露天風呂付。色々な種類の温泉にも入れてとても満足。




『ブルートレインたらぎ』は熊本県球磨郡多良木町にある宿泊施設。
車両は実際に熊本─東京間で運用されていた「はやぶさ」が使われている。
近くにはくま川鉄道の多良木駅や多良木商店街がある。

止まれる部屋は2種類。
まずは4人部屋の「解放式B寝台」


4人部屋で二段ベッドが高い。
上の段は寝返りうったら落ちそうでちょっと怖いかもしれない。

大学の授業で乗船した長崎大学の附属練習船長崎丸と比べると部屋自体は広い。
ただし今の感覚だと泊まるにはちょっと勇気がいる。

仲間内で泊まる分には楽しそうな反面、仕切りがあまり無いからプライバシー面等で
周りには気を遣うと思う。



もう一つが「B寝台一人用個室寝台 ソロ」。



完全個室の部屋。
「ソロ」にも2種類の部屋がある。こちらは私が泊まった部屋。
ベッドまでに必ず階段を上らないといけないタイプ。
もう一つは扉を開けたらそのままベッドがあるタイプ。

扉は引き戸になっていて、鍵付き。扉の背が少し低くかがんで入室する。
階段側の壁には絵と鏡とハンガー掛けがある。

絵は当時からあったのかわからなかった。

部屋にはベッドとコンセントだけの簡素な作り。
1泊する分には不便はしない。


コンセントは2つ。恐らく鞄等の荷物をを置くスペースにあった。



アラーム機能や読書灯がベッドについていた。(使用は不可)



ちょっとした小物を乗せたりできる台。ゴミを入れる穴もある。(使用不可)


また驚いたのがこの毛布。




ちょっと見づらいけど、毛布のタグをよく見ると「納入年月 平成11年3月」とある。
「JR九州熊本支社」と書いてある以上、運行で実際に使われてたぽい。

まさか毛布まで当時の物が使えるとは思ってもいなかったから驚いた。



ベッド 

170センチの私でギリギリなので、大きい人ちょっと大変かも。
ちなみにアームレスト?があって、椅子みたいにもできる。
マットレスは硬め。使用感からは年季を感じさせる。



何とも言えない柄模様をしている。
でも昔の洋服ってこういう柄もあったりする。
昔は今では考えられない柄が流行っていたのかもしれない。



窓からの景色も少し高い。少し新鮮。



部屋は階段を合わせても2畳は無い。けどとても落ち着いた。
押し入れみたいなちょっとした狭い空間が好きだからと思う。

ただし閉所恐怖症の人は落ち着かないかもしれない。

また注意点としてはとても壁は薄い事。
話声や扉の開閉音、足音、携帯アラーム、いびきまでよく響く。
さすがにケータイはマナーモードにした。
運行されていた頃って、列車の走行音。
あのガタンゴトンって音がいい意味で防音になっていたのだろうね。
それが無い以上多少の生活音はしょうがない。気になる人は防音対策を考えた方がいい。


大人が一人通れるぐらいの広さの通路。







通路の窓から撮ったくま川鉄道の線路を器用に歩く猫。


2008年に検査された水量計。
本当に最近まで使われていた事がわかる。




飲料水用のタンク(使用不可)


本当は車掌室も見学ができたようだけど、こちらのリサーチ不足で行かずしまい。残念。



共同スペース兼受付カウンター
室内での飲食は禁止なので、食事はこちらで食べる。フリーWi-Fiもある。

時間帯によってはテーブルでそれぞれが思い思いに自分の時間の楽しんでいた。
知らない人同士で仲良く談笑。みたいな空気感は少なくとも自分のいた時には無かった。
テレビではずっとゴルフのマスターズが流れてたのが印象的。消灯は22時。

泊まっている客層は体感では若い人は少なく高齢者の方が多い。
またロングツーリングの途中の宿泊施設として使われている人もいた。



共同スペースに飾られた国鉄からJR九州へと変わる事を伝える当時のポスター。




喫煙がまだ許されていた頃の名残。



メインの扉 手動で開ける。初めて入った時は開け方がわからなくて混乱。




傘立てにも「熊本運転所」の文字。


『ブルートレインたらぎ』の近くには、
ローソンや物産館、ゆめマート(スーパー)があって不便はしない。

また多良木町の盛り場も近くにあって、それなりに盛り上がっていた。

「麵屋・日ノ出」さんのラーメン これ飲み会の〆でこれは最高だ。

餃子もおいしい。個人的に餃子が見た目も味もおいしい店はいい店だと思う。


店内にいたおじさんの雰囲気も地元とは若干違っていて、
地域の違いって令和になっても残っているのだなって思った。

ちなみに私の古文書の先生は人吉の事を、
「中世の気風が残る地域」とおっしゃられていた。

話は脱線するが、球磨地方は広大な盆地になっていて、地方全体を急峻な山が覆っている。
当地を治めていた相良家が700年生き残った理由が、車で走っていてわかった気がする。
もしも佐賀藩の様に近世以降に徹底した粛清による中央集権化を図れれば、
人吉は熊本第二の都市になれたのかもしれない……。なーんてね。

また少し距離があるが、
多良木商店街を歩くと『てつ食堂』さんという美味しい居酒屋さんもある。おすすめ。

お通しと球磨焼酎・蔵八の水割り。







多良木でここまでおいしい食べ物を食べれるとは思いもしなかったので感動しました。
地元か市内に2店舗目が出来ないかな。(願望) できないよな……。



また町を歩くと「蔵八」の文字をよく見かける。
何でも多良木の方ではポピュラーなお酒らしい。
地元でよく飲まれている焼酎と言えばやっぱり「白岳・しろ」
「白岳・しろ」を製造している人吉の酒造メーカー。高橋酒造さんはソフトバンクホークスのホームスタジオ・ペイペイドームにも広告を出している事でも知られている。だから結構多良木でも「しろ」が飲まれていると思っていたから、この違いは意外だった。沢山の焼酎メーカーが軒を連ねる球磨地方。その中でも地域ごとにまた違った酒が愛飲されている。酒で見ると、また風土も違って見えるね。

ちなみに「蔵八」は食事によくあう焼酎だと思う。
「しろ」とはまた違った雰囲気のお酒で、より大衆的な味。美味しかったです。




夜にはブルートレインもライトアップ。





「はやぶさ」の表示板。経年劣化にひび割れが痛々しい。






直最後の最後まで行くか悩みました。
だって「多良木町ならここ行きたい。」って思うポイントが浮かばなかったから。
でも行って正解だった。とても充足感が凄い。

熊本市に近い人ってわりと天草か阿蘇に行きがちなんだけど、やっぱマンネリ気味。
球磨地方って近い割にあまり行かないからこそ、散策のしがいがある。

そして「ブルートレイン」に泊まる。という体験が出来た事も大きい。
今じゃ中々乗る事ができない夜行列車体験が出来た事も、来て良かったポイント。

駐車場もあるし、県外の人も行きやすいと思う。
(ちなみに町を本格的に観光するなら車は必須。)

また多良木町でゆっくりしごしたいね。



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