ループ・ループ・ループ 桐山徹也

2020年9月25日金曜日

『このミス』大賞シリーズ ナナカワ 桐山徹也 小説 読書 宝島社

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 世の中の創作物にあーだこーだ言う。



『独断と偏見とちょっとしたスパイス』

第15回は、繰り返される11月24日の中で女子高生の自殺と連続殺人事件が交差する時、時が動き出す。


 ループ・ループ・ループ





もしも同じ日が毎日繰り返されるならばあなたは何をします。


遠くに行ったり、趣味に没頭したり、はたまた法律を破ったり。


ゲームの様にリセットできる毎日。出来る事は沢山。

同じ時間が無限にあるって凄く贅沢なお話だ。

時間は有限で、やりたい事を意識すればするほどに、1日の短さに歯がゆい気持ちになる。


でも、もしも本当にリセットされる毎日に囚われたら、案外直ぐに気が狂うかも。


文字通り変わらない日常をエンジョイするのもいいけれど、未来なくして先は無い。

いつまでも前に進めない苦しみを味わうのは、個人的にはもう勘弁願いたいね。




今回紹介する『ループ・ループ・ループ』は、その名前の通りループ物。




『ループ・ループ・ループ』は今年見てきた作品の中で随一でとにかく面白かった。

面白い作品を見ると、心が躍るよね。もしもイラストが描けるのならば、ファンアート書きたいぐらいに好きだ。


今回は『ループ・ループ・ループ』の面白さについて全力で書いていきたいと思う。

そして良ければ、ここのブログに訪れた人ぐらいには是非とも読んでいただきたいね。





連続殺人事件や女子高生の飛び降り自殺と物騒な事件が絶えないとある町で、

気が付くと11月24日がループしている事に気づいた高校2年生の主人公・橋谷郁郎が、

その日事故や事件に巻き込まれた同じ高校の生徒を救っていく。

ショートカットで気が強い頼れる玉尾。学校一のイケメン貴久。古き時代のオールドヤンキースタイルの文太。


事故やケガから救われる事で、自分が11月24日を永遠ループする事に気づた主人公達4人は手分けして、

ループの謎を調査していく。


調査をしていくにつれて明かされる殺人事件の犯人や自殺の真相。

そして全てが繋がった時。時計は時間は刻み始める。





シナリオがとんでもないぐらいに完成している。


まずメインの謎『ループが何故起こっているのか。」があって、

その下に殺人事件やら生徒の自殺やらと複数の謎がある。


SF的なの謎とミステリー的な謎。

物語が進むにつれて、ミステリー的な謎が提示されていって、世界観がぐっと広がっていく。


どんどん広がっていく風呂敷。新しい謎。


元々序盤からテンポよく話が進んでいくのだけど、その折々で伏線が丁寧に張られていく。

如何にもなぐらい分かりやすく張られた伏線。巧妙に凝った伏線では無いものの、この分かりやすさがいい。



そして、ループと殺人事件。自殺。複数の謎が繋がった時、物語がよりスピーディに進む。

時間が進み始めたかのごとく、結末に向けて怒涛の展開。

黒幕との対峙。そして切なげなラスト。

ちょっとジョジョっぽいラストではあったのだけど、ドラマチックでいいラストだったと思う。



この小説はメディアミックスしたら化ける。そう思わずにはいられない。


劇的な場面。登場人物達の個性。全てが絵になる。

あと個人的に凄くみたいから。もしもそんな軌跡が起こったならば、映画館に見に行きたい。





凄く刺さった。心に深々と刺さった。

刺さる作品に最近あまり出会えていなかったから、久々に心地いい気分。

「睡眠時間削ってまで読みたい。」って思える作品に出会えてよかった。



「このミステリーがすごい!」レーベルは、

正直新人作家さんばかりだからどうなんだろうって思うっていたけれど、

凄く良かった。


ループ×ミステリーって、意外と合うのも新発見。


楽しい時間をありがとう。



公式サイト
https://tkj.jp/book/?cd=TD004215

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毎週金曜19時更新。 目に留まった創作物にレビューを書きます。批評家では無いので、凝った事は書きません。文章は硬いめだけど、方針はゆるゆるです。よろしくです。

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