独断と偏見とちょっとしたスパイス 30回
ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く 岡田斗司夫
─時代を予想する困難さを未来人として見る。─
公式サイトより引用
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84188-5
岡田斗司夫さんは、良くも悪くもな人物。
ネットの評判を見る限り、
ひろゆきさんや中田敦彦さんみたいな扱いをされている。
どちらも共通しているのは、
- 他人に自分の意見を聞かせれる程のトーク力を持っている。
- どことなく(この「どことなく」というのが重要だ。)知的そうなテーマ。
- 直近の話題をすぐ取り入れる足の速さ。
- そこそこの知名度。
- そして、熱心なファンとアンチが多い。
インフルエンサーの宿命か。
それとも身から出た錆なのか。
私個人として岡田斗司夫さんの動画はたまに見る。
動画時間は長すぎると感じてしまうけど
挙げられるテーマに惹かれてみてしまう。
サブカル関係の話題も多いというのも、見てしまうポイントかな。
さて今回はインフルエンサー・岡田斗司夫著の
『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』を取り上げます。
この本は元々2017年にニコニコ動画の配信サービス・ニコ生配信で、
配信された情報を2018年に書籍として再編集されたものになる。
題名だけを見れば「ユーチューバー」に関する本に見える。
だがテーマは10年後の未来。
この本ではサブカルチャーから政治まで、
幅広いテーマで未来を予想する。
言わば岡田斗司夫版「未来予想図」である。
文章は話し言葉で書かれていて、
まんま岡田斗司夫ゼミみたいな感じ。
うんちくを多めに話に取り入れたトークで、
ライトな印象を受ける。
この本の元になったニコ生から5年。
書籍が発売されてから4年たった。
少しだけ未来人からの私からの率直な感想は、
様々な事にアンテナを張ってよく勉強されている方でも、
未来を予想するのは大変難しいという事。
ハッとされる部分もあれば、外れてしまったものもある。
具体的な話に入ろう。
この本をざっくりとまとめると、以下のテーマで話がされている。
- 情勢や技術の進歩によって、秩序や価値観が揺らぐ中でどう生きるか。
- 「第一印象至上主義」と盛る文化。
- AIの発展や翻訳の精度向上によってレッドオーシャン化するユーチューバー。
- 従来のアイドルの終焉と、よりスター性や能力を求められるアイドル。
- Amazonの不動産業進出か?.
- 近未来の恋愛事情。AIは恋愛をリアルからバーチャルへ。
- AIとの生活。そして家族化するAI?
- AIが政治の世界に進出するか。
- 乱世の時代に幸せに生きる為に。
見ての通り、ニコ生で個別で放送したものを一つにまとめている事もあって、
個別の話に多少一貫性が薄く、ごちゃごちゃしている様に見える。
テーマが色々と脱線してしまう関係上、頭に入りにくい印象はある。
動画でも結構話が脱線しているのに、あまりそうとは思わない。
動画と書籍という媒体の違いもあるかもしれない。
一貫している事と言えばAIの発展がこれから様々な面で、
私達の生活に深く影響を与えるという事。
個人的に面白いと思ったのは、2.3.6のテーマ。
2.の「第一印象至上主義」とは、
① の「 第一印象 至上 主義」 という のは、 最初 に 感じ た 第一印象 や その 時 に 起こっ た 感情 を 絶対視 し て しまう こと。岡田 斗司夫. ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く (PHP新書) (p.21). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.
その結果、
自分 で 回答 を 考える のでは なく、 大勢 の 意見 から、 自分 に 合っ た 意見 を 選ぶ よう に なっ た という こと です。岡田 斗司夫. ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く (PHP新書) (p.22). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.
とある。
これにはハッとさせられた。
私は映画であれ、小説であれ、作品を見た後にネットのレビューを見る。
みんなはどんな感想を持ったのか気になるから。
その時には、自分の感想が文章化できていないから、
ちゃんとした文章で書かれた自分と近い感想のレビューを見てしまうと、
それが自分の感想になってしまう。
だけどその感想には自分がいない
そして同じような感想がないか探してしまう。
「自分の意見をより固める為に。」
いわゆるエコーチェンバー現象だ。
結局、人の意見が知りたいのではなく、
自分の感想が正しいのか答え合わせしているようなものだ。
こうやってこのサイトの記事を書く時も、他人の影響からは離れられない。
「その中で自分の感想を書く。」
という難しさをいつも感じている。
ちなみに「盛る文化」とは、
自分をリアル以上に綺麗に見せる手法の事だ。
3.は、
翻訳技術の進歩によって、これからユーチューバーは世界と競争する事になる。
またこれから遠くない未来に、AIが沢山の動画を作る様になるから、
ユーチューバーは稼げなくなる。という話。
このテーマについては置いといて、脱線して話に焦点を合わせる。
この章では、コンテンツについて語れる。
『僕らは「最新コンテンツ」以外に興味が無い。』は興味深い。
ここでは、
どんなに過去のコンテンツが見れる環境が整ったとしても、
話題性が無い限りはユーザーは話題性のある最新作しか見ない。
というまとめがされている。
確かに不特定多数のユーザーは自然現象的に作品を見ない。
話題性が無いからだ。
一方で最近見た記事にはこんなものもある。
「昨今のコンテンツは「使い捨て」が蔓延
ホラー漫画家・洋介犬が危惧する「エンタメ消費速度の爆速インフレ化」
https://otakei.otakuma.net/archives/2022061801.html
コンテンツの消費が早い昨今。
ユーザーは段々と間が空く「最新話」が待てなくなっている。
という記事だ。
そこで、私はこう考える。
一方で、無数の面白い過去作ならば、
「最新話」を待つという事はしなくても済む。
過ぎに次の話が見れる環境が整っている今、
過去作に注目が集まるのでは無いか。という事。
そこには、話題性が必要だけどね。
未来はどうなるのか。
気になります。
6.は、
大変なストレスを感じてまでリアルの恋愛を頑張らなくても、
AIによるバーチャルな存在が、より自分の理想のパートナーの代わりになる。
という話を軸に、結婚や子供についても考える。
全然夜職の話は出てこなかったけど、
もしもこんな技術ができたら夜職は終わり。って思ってしまった。
スナック、キャバクラ、ホスト。
全てが終わってしまうまではいかなくでも、夜は暗くなってしまう。
夜の世界は騙し合いだし、汚い部分もあるけど、
社会に居場所が無かったり、一攫千金を得る為に行く人。
副業で生活費を稼ぐ為や、学費を稼ぐ為だったりと、色んな人がいて面白い所。
それがテクノロジーの力で無くなったら嫌だな。
この岡田斗司夫版「未来予想図」で早速外れた事もある
やたらとペッパー君を推すページがある。
「ペッパー君によって接客をする人員が減り人件費が削減できる。」
というものだ。
しかし、ペッパー君は今。生産を終了している。
岡田斗司夫さんはこの事について、
どのような感想を抱いたのか純粋に気になる。
揚げ足取りみたいになってしまうけれど、
一連の接客業務がロボットでは無く、
タッチパネル式の機械やタブレット、スマホに置き換えられた。
この事についてどう考えるのか。考察が聞きたい。
まあ、単純にコストが安かったって事もあるのだろうけどね。
コロナ、戦争。燃料や食糧不足。として、核戦争の危機。
様々な危機が連なっている2022年。
それと比べて2018年は平和だったのだなって思う。
この本の中の未来は今よりも明るそうだし。
さすがにこの不特定多数の要素が連動する時代の中では、
10年後の未来を考える事も簡単では無かった。
未来は中々当たらない。
昔の学研とかの雑誌の「未来予想図」コーナーの様に、
話半分で聞くと、とても面白いと思う。
「未来は誰にも分らない。例えどんなに勉強して人でも。」
この本を読んでいて、一番に思った事だ。
もしも彼に不愉快な感情も無く、
今回挙げられた話のテーマに興味があるなら、手に取ってもいいだろう。
公式サイト
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84188-5
来週は以下の作品を取り上げます。
『死にぞこないの青』 乙一
─生々しい現実と勇気の物語─
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